この記事では、2019年に始まった「特定技能ビザ」を活用して、外国人労働者を仲介業者 (登録支援機関)なしで受入れする方法についてご紹介します。
登録支援機関は、特定技能ビザを使って外国人労働者を受入れする際に、法的実施義務のある支援業務を、受入れ企業に代わって代行する業者です。
現在では、受入れ企業の多くが登録支援機関を介して、外国人労働者の受入れをしていますが、多くの手数料がかかるというデメリットもあります。
本記事の内容を参考にすることで、登録支援機関に支払う費用を抑えて、外国人労働者への給与へ反映することができるため、外国人労働者と受入れ企業の双方にメリットのある内容です。
基本的には各省庁から公表されている1次情報を基にした内容となっており、情報源も適宜参照しているので、信ぴょう性の高い記事内容となっています。
ぜひ最後まで読んで、外国人労働者受入れの際に役立てて下さい。
- 【STEP 0】外国人労働者受入れのための特定技能ビザとは?
- 【STEP 1】まずは特定技能ビザを活用するメリット・デメリットを紹介!
- 【STEP 2】特定技能ビザが使えるか確認 (簡単に判断できるチェックリスト)
- 【STEP 3】特定技能ビザで外国人労働者を受入れするために必要な事前準備を解説
- 【STEP 4】特定技能ビザで外国人労働者を受入れする方法3つを紹介
- 【STEP 5】特定技能ビザで外国人労働者を受入れ後の定期報告と更新手続き
- 【STEP 6】特定技能ビザの活用にかかる費用
- 【STEP 7】登録支援機関なしでの受入可否を確認 (簡単に判断できるチェックリスト)
- 【STEP 8】登録支援機関なしで受入れするメリット・デメリットはこちら
- 【まとめ】最初から登録支援機関なしで受入れできなくてもOK
【STEP 0】外国人労働者受入れのための特定技能ビザとは?

現在、日本で働いている外国人は、それぞれ必ずビザを取得しており、取得しているビザによっては、働ける業務内容や就業場所まで厳格に定められています。
本記事では、ビザの中でも、外国人労働者を受入れするために政府が推進している「特定技能ビザ」について解説していきます。
外国人の労働力で人手不足を解消するためのビザ⇒『今までなかった』
特定技能ビザがつくられた目的は、外国人の労働力を使って日本の人手不足を解消することです。
特定技能ビザを使えば、日本政府により人手不足が深刻であると認定された14業種にて、外国人労働者を雇用できます。
また、特定技能ビザができる以前は、外国人が単純労働をすることだけを目的としたビザがなかったことも特定技能ビザが注目されている理由です。
外国人受入れに使えるその他のビザについては、出入国在留管理庁の「在留資格一覧」のページもチェックしてみて下さい。
ほとんどの企業が登録支援機関を介して受入れ⇒『実はなしでも受入れ可能』
特定技能ビザでの外国人労働者受入れが、伸び悩む理由ひとつに「登録支援機関への手数料」があります。
登録支援機関へは、「初期費用」として一人当たり数十万円、その後は「外国人労働者の支援」という名目で一人当たり毎月2~3万程度の手数料を支払う必要があります。
現状では、多くの企業でこの手数料が重荷となり特定技能ビザの取得断念や、外国人労働者の給与が上がらない理由となっています。
そんな中、特定技能ビザで外国人労働者を受入れするのに登録支援機関を介する必要がないことは、あまり知られていません。
登録支援機関なしで受入れするための方法などについては、【STEP 6】以降で詳しく解説します。
外国人と企業の双方にメリットの高いビザ
従来、日本で実質的な外国人労働者の受入れを担ってきたのは「技能実習ビザ」です。
「実質的な外国人労働者」と書いたとおり、あくまで、日本での技能実習を通して母国に技能を持ち帰ることを目的としたビザです。
その理由から、技能実習ビザを使って外国人を単純労働者として受入れすることはできません。
また「日々の技能実習内容の記録が必要」であったり、「非常に限られた業務範囲」のみが認められていたりするなどの不都合もあります。
そのため、技能実習ビザで外国人を受入れしているほとんどの企業が、「技能実習ビザの本来の目的」と「受入れ企業側の本当の目的 (単純労働力として雇用したい!)」の板挟みの中で、外国人を受入れしてきました。
加えて、技能実習ビザには、日本に滞在中の通常3年間の間、実習先の変更不可 (転職不可)のルールもあり、外国人にとってもデメリットの大きい側面が、度々国内外の人権団体から批判の的となってきた経緯もあります。
そんな中、新設された「特定技能ビザ」では、政府公認で外国人の単純労働が解禁され、転職も認められたため、技能実習ビザが抱える問題の多くを解決したビザであると言えるでしょう。
なお、技能実習制度についての詳しい内容を知りたい場合は、出入国在留管理庁が作成した「外国人技能実習制度について」の資料を確認して下さい。
それでは、次の【STEP 1】より特定技能ビザの具体的な内容について見ていきます。
【STEP 1】まずは特定技能ビザを活用するメリット・デメリットを紹介!

特定技能ビザで、外国人労働者を受入れする主なメリット・デメリットを紹介していきます。
特定技能ビザを活用するメリット
特定技能ビザを活用するメリットを2つ紹介します。
長期的なキャリア形成も可能
特定技能ビザでは、最大で5年間の就労が可能です。
特定技能ビザの5年間に、高い日本語能力や技能を身に付けることで、在留期限のない他のビザへ変更する道も残されています。
また、技能実習2号を修了した外国人は、無条件で同じ職種の特定技能ビザ取得の要件を満たす「技能実習ビザの優遇措置」があります。
この優遇措置を使って、まずは「技能実習ビザ (最大5年)」で外国人を受入れした後に、優秀な人材を選抜して「特定技能ビザ (最大5年)」を取得する受入れ企業も珍しくありません。
そのため、特定技能ビザと他のビザを組み合わせることで、10年以上の長期的なキャリアを考えることも可能です。
日本語能力の高い人材も見つけやすい
特定技能ビザの外国人労働者は、最低でも日本語能力検定N4レベル以上の日本語能力をもって来日します。
また、技能実習生2号以上を修了した人材であれば、既に3年間以上日本で生活した経験があるため、日本語能力に加えて日本での生活に慣れている人材も多いです。
そのため、日本語能力の要件がない「技能実習ビザ」と比べても、日本語能力が高い人材の受入れが可能となります。
特定技能ビザを活用するデメリット
次に、特定技能ビザのデメリットを紹介します。
他社に転職してしまうリスク
特定技能ビザでは、転職が認められています。
そのため、同じ仕事でより待遇の良い会社が見つかった場合は、簡単に転職をされてしまうリスクがあります。
特定技能ビザの外国人は出稼ぎ目的で来日しているため、給与やその他の待遇が、就職先を決める際の一番重要な判断基準である場合が多いのが実情です。
また、特定技能ビザが認められている14業種は、日本人が敬遠するキツイ業界がほとんどです。
そのため、外国人労働者に長期間働いてもらうためには、待遇や環境も踏まえて、「長期間ここで仕事をしたい!」と思われるような受入れ体制を整えることが必須と言えるでしょう。
受入れ企業の優良事例については、出入国在留管理庁が紹介している「特定技能外国人の受入れ事例」についてもご確認下さい。
安い労働力としての受入れはできない
特定技能ビザでは、単に安い労働力として、外国人労働者を受入れることはできません。
もし、違法に安い賃金でなくても、「最低賃金」での受入れも認められない場合が多いです。
「同一労働同一賃金」が、特定技能ビザの外国人労働者にも適応されるのはもちろんですが、支払われている給与額について、最低でも年4回の監査を受けます。
日本人を雇用する以上に「同一労働同一賃金」については厳しく国の審査を受けるため、安い労働力を目的として特定技能ビザを活用することはできません。
特定技能ビザの外国人の給与に関するルールについては、「出入国在留管理庁 (特定技能制度に関するQ&A) 」もご確認下さい。
【STEP 2】特定技能ビザが使えるか確認 (簡単に判断できるチェックリスト)

ここでは、特定技能ビザを使っての外国人労働者受入れ可否を判断するための、「最低限必要な要件のチェックリスト」と「受入れ可能な全14業種リスト」を紹介していきます。
2つのリストで、要件を満たしていることが確認できれば、特定技能ビザを活用できる企業となります。
なお、特定技能ビザでの外国人労働者の受入れは、要件を満たせば個人事業主でも可能です。
※登録支援機関なしでの受入れ可否については、【STEP 7】で紹介します。
最低限必要な要件のチェックリスト
全てのチェックに当てはまる場合のみ、特定技能ビザで外国人労働者の受入れが可能です。
□ 1年以内に会社都合の離職者がいない(特定技能ビザの外国人と同じ業務の日本人と外国人)
□ 5年以内に入管法や労働法への違反がない (役員含む)
□ 技能実習の認定取り消しを受けたことがない (役員含む)
□ 5年以内に暴力団と関係がなかったこと(役員含む)
□ 経営状況が良好である
□ 14業種何れかに当てはまる (次の「受け入れ可能な全14業種リスト」を参照)
参照 : 出入国在留管理庁 (在留資格「特定技能」について)
上記は、受入れに必要な最低限必要な要件になります。
そのため、実際の受入れの際には、特定技能外国人と違約金に関する契約をしていないことなどの細かなルールも遵守する必要があります。
受入れ可能な全14業種リスト
特定技能ビザで外国人労働者を受入れできるのは、次の14業種のみです。
介護 | ビルクリーニング |
素形材産業 | 産業機械製造業 |
電気・電子情報関連産業 | 建設業 |
造船・舶用業 | 自動車整備業 |
航空業 | 宿泊業 |
農業 | 漁業 |
飲食料品製造業 | 外食業 |
参照 : 出入国在留管理庁 (在留資格「特定技能」について)
14業種に当てはまる場合でも、製造3業種 (素形材産業・産業機関製造業・電気・電子情報関連産業)については、厳しい業種確認が行われるため「業種に該当するかどうか」を事前に相談することをおすすめします。
製造3業種については経済産業省が、「無料相談窓口」を設置しておりますので、業種の該当性を確認する際にぜひ活用して下さい。
【STEP 3】特定技能ビザで外国人労働者を受入れするために必要な事前準備を解説

受入れに最低限必要な事前準備を解説していきます。
外国人労働者への支援を実施する体制の準備
特定技能ビザの外国人労働者を受入れするためには、次のイラストの➀~⑩のような、外国人労働者とのガイダンスや日常の生活サポートを含めた「支援業務」ができる体制が必要です。

参照 : 出入国在留管理庁 (在留資格「特定技能」について)
全ての支援業務が必須であるため、特定技能ビザを申請する際に、それぞれの支援業務についての実施状況や予定などについて、報告する必要があります。
特に「➀事前ガイダンス」や「④生活オリエンテーション」については、実施する内容について詳細に定義されておりません。
最低限必要とされている内容については、下記の確認表に記載があるため、動画や資料などを使って必ず説明をしましょう。
なお、支援業務については、登録支援機関に全て委託することもできます。
住居などの準備
紹介した支援業務の中でも、特に手間がかかるのが「➂住居確保・生活に必要な契約支援」です。
自社寮を完備している場合や、本人が自分で用意する場合を除いて、基本的には受入れ企業が準備をする必要があります。
受入れ前に、寮 (7.5㎡以上の個人スペースあり)の手配に加えて、水道・電気・ガスは最低限、準備する必要があり、WIFIも設置することが望ましいです。
なお、寮を手配する場合も「敷金・礼金・保証金・仲介手数料」については企業負担となります。
特定技能ビザの外国人の寮の費用に関する規定は、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」の24ページもご確認下さい。
特定技能ビザの申請書類準備
受入れ企業が特定技能ビザ取得の要件を満たして、且つ支援業務が実施できる体制も整えたら「特定技能ビザ」の申請をします。
特定技能ビザ申請に必要な書類や審査期間については、次のサイトより確認することができます。
申請の必要書類を集めた後に、「ビザ取得を希望する外国人本人」または「受入れ企業の担当者 (申請等取次者証が必要) 」が入管で申請をします。
ただし、登録支援機関に支援業務を全て委託する場合は、入管への申請も一緒に依頼することが可能です。

※記事内容は、受入れ機関の職員が申請取次者証を取得する時にも参考にできます。
【STEP 4】特定技能ビザで外国人労働者を受入れする方法3つを紹介

「特定技能ビザの使用可否」や「受入れに必要な準備」がわかったところで、具体的な受入れ方法について見ていきましょう。
特定技能ビザで、外国人労働者を受入れする方法は次の3つです。
➀ 既に受入れしている技能実習生を特定技能ビザで継続雇用する
② 国内にいる外国人を特定技能ビザで受入れする
➂ 海外にいる外国人を特定技能ビザで受入れする
それぞれ紹介していきます。
なお、特定技能ビザの外国人の要件としては、「技能実習2号修了」まはた「それぞれの職種で設けられた試験合格」と「日本語能力試験N4・JFT-Basic A2レベル」が必要となります。
そのため、要件を満たした外国人のみ特定技能ビザを使っての受入れが可能です。
※介護のみ、上記に加えて介護の日本語試験にも合格する必要があります。
➀既に受入れしている技能実習生を特定技能ビザで継続雇用する

「技能実習2号以上を修了」した外国人が、技能実習を修了した職種と同じ職種で働く場合は、試験の受験なしで特定技能ビザを取得することができます。
そのため、技能実習が修了する3ヶ月前を目安に余裕をもって特定技能ビザを申請することで、「技能実習ビザ」→「特定技能ビザ」へのスムーズな移行が可能です。
既に3年間以上受入れしている外国人をそのまま継続雇用できるため、社外からの人材を確保する場合と比べて、質の悪い人材を排除できます。
また、特定技能ビザの申請に必要な書類も集めやすいため、申請のための準備がし易いというメリットもあります。
なお、宿泊職種などは技能実習2号以上を修了しても免除がなされないなど、例外もあるので事前確認が必要です。
②国内にいる外国人を特定技能ビザで受入れする

「国内にいる社外の外国人」を特定技能ビザで受入れすることもできます。
受入れ可能な人材としては、「技能実習2号以上を修了」または「特定技能の試験と日本語試験に合格」した外国人が想定されます。
人材を受入れしたい時期から逆算して、「人材の面接」や「特定技能ビザの申請」を進める必要があるため、受入れ希望日の4ヶ月ほど前には「人材の面接」を始めることをおすすめします。
人材確保のためには、「信頼できる外国人の紹介」や「紹介会社」などの協力が必要になることが多いです。
また、入管が主催する「特定技能人材のマッチングイベント」も不定期開催されているので、タイミングが合えば、参加をおすすめします。
採用する人材が決定した後は、現職の会社や登録支援機関へ転職の許可をとり、特定技能ビザの申請を進めます。
なお、採用決定の時期によっては、特定技能ビザの申請が間に合わない場合も想定されます。
申請が間に合わない場合には、特定活動ビザを使うことで、特定技能と同じ職種・給与条件で働きながら、特定技能ビザの申請準備をすることもできます。
➂海外にいる外国人を特定技能ビザで受入れする

「特定技能になるための要件」を満たした海外にいる外国人の受入れも可能です。
「技能実習2号以上の修了者」には「技能実習の旧制度」の修了者も含まれるため、以前受入れをしていた優秀な外国人を、特定技能ビザで呼び戻すことも可能になりました。
また、特定技能の試験は、海外でも実施されているため、試験に合格した外国人を採用することもできます。
採用する人材が決定した後は、特定技能ビザ・取得をした後に、日本への入国が実現します。
【STEP 5】特定技能ビザで外国人労働者を受入れ後の定期報告と更新手続き

受入れ後に、必要な手続きについて見ていきます。
受入れ後の定期報告 (3ヶ月ごとに必須)
特定技能ビザを使って外国人労働者を受入れした場合は、年4回の報告書を入管へ提出する必要があります。
報告書の目的は、入管が「支援業務の実施状況」や「労働基準法の遵守状況」を確認することです。
報告書には、外国人労働者の賃金台帳に加えて、同じ会社の日本人社員の賃金台帳も添付する必要があるため、日本人社員と比べて不当な賃金格差を設けることなどはできない点に注意して下さい。

特定技能ビザの更新手続き (基本は1年更新)
特定技能ビザは、最長でも1年間しか在留が認められません。
そのため、1年ごとに特定技能ビザの更新をする必要があります。
特定技能ビザの更新手続きは、特定技能ビザを取得する初回の手続きと比べると、ずっと手間が少ないです。
ただし、手続きに必要な書類で、「課税証明書」と「納税証明書」など、役所で取得必要な書類などもあるため、申請が認められるビザ期限の3ヶ月前には、必要書類が揃っていることが望ましいでしょう。
特定技能ビザの更新に必要な書類は、次のサイトより確認することができます。
【STEP 6】特定技能ビザの活用にかかる費用

特定技能ビザで外国人を受入れするための内容を理解したら、実際に受入れにかかる費用を見ていきましょう。
なお、紹介する費用は、印紙代を除き実際にかかる費用の概算額です。
受入れ時の初期費用
受入れ時にかかる初期費用は、次のとおりです。
名目 | 費用 |
ビザ申請費用 (印紙代) | 4,000円 |
申請等取次者証取得費用 (1回) | 20,000円 |
寮の準備費用 (敷金・礼金など) | 実費 |
特定技能外国人の受入れにかかる費用としては、特定技能ビザを取得するための印紙代 (呼び寄せの場合は不要)だけです。
また、申請等取次者証については、本来、本人が入管へ出向く必要のある申請手続きを受入れ企業の役職員が代行するための資格証明書です。
各地域で開催しているセミナーに参加後に、入管へ申請することで取得することができます。
取得しておくと、今後のビザ申請の際も特定技能外国人が平日に休みをとって、出入国在留管理局へ出向く必要がなくなるため、取得することを強くおすすめします。
なお、現在はマイナンバーカードをもつ外国人がオンラインでビザ申請できる制度も始まっているため、申請等取次者証の取得については、マイナンバーカード発行・その後の更新の手間暇などとも比較して検討して下さい。
受入れ後定期的にかかる費用
受入れ後、定期的にかかる費用は次のとおりです。
名目 | 費用 |
ビザ申請費用 (印紙代) | 4,000円 /年 (1名ごと) |
外国人への給与 | 実費 |
受入れ後も、特定技能ビザを更新する際に、4,000円の印紙代が発生します。
それ以外には、特定技能外国人への給与以外に特別な費用はありませんが、3ヶ月ごとの定期報告や契約満了時の空港送迎費用にかかる諸経費などは、負担する必要があります。
登録支援機関ありの場合との費用比較
登録支援機関を使う場合と比較すると、かかる費用は大きく異なることがわかります。
登録支援機関あり | 登録支援機関なし | |
ビザ申請費用 (印紙代) | 4,000円 (1名ごと) | 4,000円 (1名ごと) |
ビザ申請費用 (初回) | 100,000円 (1名ごと) | なし |
申請取次者証取得費用 (1回) | なし | 20,000円 |
寮の準備費用 (敷金・礼金など) | 実費 | 実費 |
外国人への給与 | 実費 | 実費 |
事前ガイダンス | 30,000円/回 | なし |
生活オリエンテーション | 40,000円/回 | なし |
支援委託費用 | 25,000円/月 (1名ごと) | なし |
ビザ申請費用 (印紙代) | 4,000円/年 (1名ごと) | 4,000円/年 (1名ごと) |
ビザ申請費用 (更新) | 30,000円/年 (1名ごと) | なし |
1年の受入れ費用 (1名) | 508,000円以上 | 28,000円以上 |
※ビザの申請は、行政書士に依頼する必要があります。
紹介した「登録支援機関あり」の費用については、あくまでも概算額のため、依頼する登録支援機関によって金額はピンキリです。
一方で、登録支援機関を使わずに受入れする場合は、多くの費用を抑えられることは確かです。
次の図解のとおり、登録支援機関なしの場合だと5年間で180万円程度の費用負担を削減できる可能性もあります。

また、受入れ人数が多くなればなるほど、登録支援機関なしで受入れするメリットは大きくなります。
なお、人材紹介も依頼する場合は1名につき200,000円程度の紹介費用がかかることが一般的です。
登録支援機関への費用については、Googleで「特定技能 費用」と検索することで、さまざまなサイトが金額を紹介していますので、自身でも一度調べることをおすすめします。
【STEP 7】登録支援機関なしでの受入可否を確認 (簡単に判断できるチェックリスト)

ここでは、記事の本題でもある、登録支援機関なしで受入れできるかの確認をしていきます。
さっそく、チェックリストを見てみましょう。
□ 支援業務を全て実施できる受入れ体制確保
□ 2年以内の外国人受入れ経験または役職員に経験者がいる
□ 通訳者の確保 (委託も可)
□ 企業と外国人労働者の中立的な立場の受入れ責任者を選定
全てのチェック項目に当てはまった企業は、登録支援機関なしでの受入れが可能です。
残念ながら、登録支援機関なしでは受入れができない場合でも、最初だけ登録支援機関を頼って、体制が整ったら自社運用に切り替えることも可能です。
まずは、企業の所在地に近い登録支援機関数社に相談してみるのをおすすめします。
なお、登録支援機関は必ず出入国在留管理庁から許可を得ている必要があります。
そのため、許可のない登録支援機関に依頼した場合、特定技能ビザの取得ができません。
許可を取得しているかどうかは、出入国在留管理庁が公表している「登録支援機関登録簿」より確認ができるので、登録支援機関と契約する際には、事前確認することをおすすめします。
登録支援機関選びに困った場合は、可能な範囲でアドバイスもできますので、問い合わせフォームより、ご相談下さい。
【STEP 8】登録支援機関なしで受入れするメリット・デメリットはこちら

最後に、登録支援機関なしで受入れするメリット・デメリットを見ていきましょう。
登録支援機関なしで受入れするメリット
まずは、登録支援機関なしで受入れするメリットを見ていきます。
費用を抑えられる
登録支援機関なしで受入れする最大のメリットは、費用を抑えられることです。
【STEP 6】で紹介したように多くの費用を抑えることができます。
費用を抑えることで、外国人労働者への給与・賞与や、福利厚生を充実されるために充てることのできるお金も増えるでしょう。
抑えた費用を外国人労働者へ反映させることで、SNSなどを使ってすぐに良い情報が広まり、優秀な外国人労働者の獲得や低い転職率にも繋げることもできます。
迅速に対応可能
支援業務も全て内製化することで、外国人労働者の相談に対して迅速に対応することができます。
支援業務を登録支援機関に頼む場合、内製化する場合と比べて、突発的な対応などは迅速に対応してもうことが難しいでしょう。
また、登録支援機関は複数企業の支援を依頼されていることも多いため、人的・距離的な問題からも手厚い対応には期待できません。
一方で、自社にて支援業務を行うことで外国人労働者との距離も縮まり、相談を受けたときには迅速に対応ができることで、不満の解消にもつながります。
また、内製化することにより、外国人労働者受入れのノウハウも蓄積されることでしょう。
登録支援機関なしで受入れするデメリット
次に、デメリットを見ていきましょう。
自社での運用ノウハウが必要
既に紹介したとおり、特定技能ビザの取得・制度運用のためには、知識・経験が必要です。
そのため、全くの初心者が全ての必要業務を行うのは難しいでしょう。
最初は、既に知識・経験のある方の助けを得たり、支援業務の一部を委託したりするなどの工夫が必要です。
制度運用のための人件費がかかる
特定技能ビザの外国人労働者への支援業務を全て内製化するには、日々の支援業務や定期報告などを実施できる人材確保が必須となります。
また、初回の受入れ時などには、空港送迎や市役所への同行などを行うためのマンパワーも必要です。
このように、登録支援機関へ委託できる業務を、自社で行うための人件費が増えることは避けられません。
そのため、自社運用する場合は、書類作成の得意な事務職員の選任や、受入れ時などに協力してもらえるマンパワーの確保も必須です。
【まとめ】最初から登録支援機関なしで受入れできなくてもOK

本記事では、特定技能ビザを使って外国人労働者を登録支援機関なしで、受入れする方法について紹介しました。
登録支援機関を介さずに自社で受入れをすることで、費用を抑えることができますが、初めはノウハウも無いので難しいと考える企業も多いと思います。
特定技能ビザでは最大で5年間、外国人労働者を受入れできますが、最初だけ登録支援機関を使い、自社での受入れ体制が整ったら自社運用をするというような方法も可能です。
そのため、最初の1年間は登録支援機関の助けを借りながら、受入れを進めて2年目以降は自社運用する方法をおすすめします。